物件を選ぶにあたりお施主様が重要視したのは、RC造であり躯体を生かせること。
既存の躯体壁の艶感を生かした空間に、ステンレスやアクリル、ガラスといった素材を取り入れシンプルで洗練された店舗を目指した。新設した壁とシャンプースペースを同系色で彩度を変え深みを持たせ、少ない色味で全体のトーンは秩序あるものに。
天井高の室内空間をより広く感じるよう、全身が映る大きなミラーを取り入れ、ミラー枠や飾り棚といった造作物は、極限まで線を省略しシンプルなものに。ミラーに映り込む、インテリアもまた親和性を大切に選んでいます。ひとひとり分のコンパクトなレセプションは、表面にステンレスを使用し、スチールの店販棚は壁と同系色で塗装するなどミニマムでとてもシャープなものに。解体できない1平米ほどのレジバックのデッドスペースは、訪れるお客様にいつも新鮮な気持ちになっていただけるよう展示スペースとし設計しました。
将来的にセット面を増やせるよう、スペースに余裕を持たせレイアウトしています。シャンプーからレセプションへの導線など、店内どこにいてもお客さま(からのシグナルに気付けるよう)の動きが把握できるものに。照明計画では、明暗差を持たせ、奥行きある空間となりました。
お店にお越しいただいたお客様が、質の良いサービスと心地よい時間を過ごせるよう、ひとつひとつが調度品のような役割を担う美術館を想起させる空間です。